発見 (Discover)


研究課題の見つけ方

論文作成や大学院入試で,最も重要かつ難しいのが研究課題を決定することです.
個人で課題を設定するのには,少々訓練が必要ですが,やってみることが重要です.


1 研究の使命・社会的立場・目的

研究の使命と書くと一寸大げさなように感じるかも知れませんが,「何のために研究をするか?」という大義名分があると,研究課題が非常に見つけやすいということです.

「何のために研究をするか?」は研究の目的にもつながります.考えていただきたいのは,上述した使命ではなく,もう少し小さな目的です.

研究そのもの,あるいは実験そのものが,目的にならないようにしましょう.また,目的が「発表すること」や「論文を書くこと」にならないようにしましょう.

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2 論文とは

論文とは,研究成果を公開するひとつの方法です.研究には全く新しい理論の展開や,原理や物質の発見ということも研究課題の一つではありますが,普通は基礎になる研究が存在するものです. ここではもう少し一般的な研究ということについて述べることにします.

研究には創造性と新規性と論理性が求められます.全く新しいこと,あるいは新しい方法を用いてオリジナリティーにとんだ研究を作り出し,それを論理的に論文として書くことになります.

全く異なるものを関連付けて,新しいアイデアを生み出し,それを論理的に証明する場合,経験や知識が多いほど,問題解決も方法も多く見つけることができることになります.つまり,経験に基づくデータの量の豊富さ,問題とデータを関連付ける能力が必要となるわけです.しかしこれらは現実に経験するのではなくとも本や文献から学べます.

2.1 創造性

オリジナリティーという言葉は良く聞かれると思います.研究のオリジナリティーとは,あなたが考えた研究であるということです.つまり,世界中であなただけが行っている研究であり,他の人は行っていない研究であるということになります.

2.2 新規性

新規性とは,世の中にはない発想を用いた研究,人が気づかないことに気がつくことを基礎として行う研究ということになります.

2.3 論理性

物事を論理的に説明・証明することを言うのですが,この「論理的」と言う言葉がなかなかうまく理解できないのです.「風が吹けば桶屋が儲かる」というのを知っておられると思いますが,一見論理的でありそうに見えますが論理的でない事が結構あります.「三段論法」と言うのも聞かれたことがあると思いますが,これも適当に使ったのでは論理的ではありません.

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3 研究課題とは

3.1 課題の規模

研究課題は社会性を考え,非常に大きな事柄にしたいと思いますが,以下に述べる3. 2から3. 5までをかんがみ決定しましょう.

3.2 課題の与える影響

自分の研究が,内容,規模等を考えたときに社会に与える影響についても考えておく必要があります.

3.3 研究にかかる経費

大学院では学生であってもいくらかの研究費が支給されます.社会人の場合は研究費を自分で都合することも考えなければなりません.また,研究助成団体に研究費を請求することも一案と考えます.
経費の範囲内での研究課題としましょう.

3.4 研究にかかる時間

修士課程で4年以内,博士後期課程で6年以内という時間的制約がありますから,その期間内で研究を仕上げることが肝要ですので,進学する課程によって研究課題の大きさが変わってきます.

3.5 研究にかかるスタッフ

計画している研究は本人一人でできる研究なのか,それとも複数人で行う必要があるのか明確にし,複数人必要であるならすでに手配が終わっていることが大切です.前項の時間の問題もありますので,関連して考えましょう.

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4 サジェスチョンを受ける

4.1 担当教員から

学部の卒業論文の研究課題は大抵の場合,指導教員の研究の一部を研究課題として与えられることになります.この卒業論文を基礎に研究を広げることが出来ます.
この場合,文献の検索や研究のバックグランドはしっかりしていることになります.

4.2 先輩から

これまでに大学院を修了,あるいは研究論文を書かれた先輩がおられましたら,相談することお勧めします.先輩の研究を続けることも可能です.

4.3 同僚から

時には同僚からサジェスチョンを受けることもあります. サジェスチョンは直接の研究課題を与えられることもありますが,先輩や同僚が困っていることもサジェスチョンとして受け止めることも可能です.

4.4 自分で考える

研究課題を自分で考える場合,その研究に創造性や新規性があるかの判断が難しいかと思います.
先ず,先行研究を把握することから始めましょう.

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5 問題の発見

5.1 身近なことから

仕事,生活あるいは趣味のことを研究課題としたい場合,現在の問題点の整理から始めましょう.

5.2 問題点をノートする

メモ用紙またはパソコンを準備して,気づいたことを書き止めて行きましょう.

5.3 問題の吟味

関連するキーワードで文献検索を行い,文献を取り寄せて精読しましょう.
文献との異なりを見つけたり,文献に無い場合は,研究課題の決定に移りましょう.

5.4 問題解決の可能性

問題を分解し,解決可能な問題と解決不可能な問題に分ける.
解決不可能な問題を分解して再度解決可能な問題と解決不可能な問題に分ける.
これを繰り返して,分けれないところまで進める.

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6 課題の決定

もし今,漠然としたものであっても,研究課題的なことが,頭の隅に浮かんでいる人は,次のことを考えてみてください.それは「研究分野」,「研究材料」,「研究方法」です.

6.1 研究分野の決定  

自信が考えている漠然としたことは,研究分野の中でどの位置に当てはまるのでしょうか?例えば看護学であるならば,成人看護,地域看護それともほかのところでしょうか?自分の漠然とした研究課題を研究分野に当てはめてみるだけで,ある程度の方向性が見えてくるのではないでしょうか?

6.2 研究材料の決定  

研究分野を当てはめた次は研究材料です.これは個人や患者という人を対象にしたものや,技術を対象としたもの,あるいは疾患を対象とする場合も有るでしょ う.漠然とした研究課題に対して,何を対象として研究するのかを当てはめて見ましょう.それにより,研究課題が具体的になってきます.

6.3 研究方法の決定  

上記の研究分野と研究材料を当てはめた次は,研究方法です.少し具体的になってきた研究課題はどのような方法で実証,あるいは証明するのが良いでしょうか? 多くの人の意見を聞くアンケート調査や,多くの実例を観察する実態調査,あるいは仮説を立てて,それを証明する実験でしょうか?研究分野と研究材料が具体 的になってくるとこの方法も具体的になってきます.

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